酒鬼薔薇聖斗 (2013/12)
「練炭」「北国の人の発想」 (2013/11)
山崎豊子 (2013/10下)
TBSドラマ「半沢直樹」 (2013/10上)
真夏の方程式、風立ちぬ (2013/09)
プーシキン美術館展 (2013/07)
中国の夢 (2013/06)
菅さん、ひどい! (2013/05)
1997年5月27日、神戸市須磨区の友が丘中学校の正門前に土師淳君の頭部が発見される。この猟奇事件に多くの人は驚愕し、その犯人酒鬼薔薇聖斗こと少年Aに感心を持つ。何故、少年Aはあのような異常な事件を起こしてしまったのか?
少年の父親は沖永良部島出身。中学を卒業後、集団就職で神戸に出て来る。母親の祖父母も沖永良部島出身で、苦労をして神戸にたどり着く。祖母は、夫の死後、女手一つで娘たち3人を育て、生きるのに精いっぱいであった。娘たちも心のゆとりがなかったと思う。
私が神戸で生活を始めた最初の一年は下宿生活であった。その下宿の小母さんは沖永良部島の出身であり、長男のT君は中学生になったばかりで、彼は従姉妹のお姉ちゃんのことを時々話してくれた。事件が起きた時、もしかしてそのお姉ちゃんは、少年Aと何か関係あるのかなと思ったりもした。しかし、調べてみると、神戸には沖永良部島出身者が多かったようだ。島からは神戸へ出稼ぎに来る人が多く、神戸製鋼所や川崎造船所で働いた。彼らしか堪え得ない高熱作業に従事し、その忍耐力と実直な勤勉さを発揮し、次第にその周辺に定着していったという経緯あり。
木嶋佳苗の百日裁判の法廷で、大出さん(睡眠薬で眠らされ、練炭の一酸化炭素中毒で死亡した人)のお兄さんが、「私たちは生まれも育ちも千代田区神田です。23区内の人間が練炭で何かするという発想はないです。それは『北の国の人』の発想ではないか」と言った時、北原みのり氏は、その時の佳苗の反応を次のように書いている。
「この瞬間、佳苗は思い切り首を傾げ、口角を下げ、「はあ?」というバカにした笑みを一瞬浮かべ、突如すごい勢いでメモを取り始めた。あまりの豹変に驚いた。初めてみた佳苗の生々しい表情だった。佳苗は北海道別海町出身だ。ブスと言われても動じず、殺人の疑いをかけられても他人事ふうの佳苗の弱点は、田舎者扱い、なのだろうか」
私は、「北の国の人」を、「寒い国の人」だから練炭を使うんだと、単純に受け止めたけれど、北原氏は、「田舎者」と受け止めたってことだ。佐野氏はこの同じ場面を、「『北の方の人』という表現に木嶋はまったく意に介さない様子だった」と、北原氏とは全く違った受け取り方をしている。同じものを見ても、人の主観により感じ方が異なっている。
2013年9月29日、心不全で死去。著名な作家だけれど、彼女の作品で読んだものは、『不毛地帯』ぐらいだ。感動的なストーリだったと記憶するが、遠い昔のことなので内容は殆ど覚えていない。瀬島龍三(1911-2007)がモデルであり、後日、彼は本に描かれたような立派な人物ではなく、黒い噂が流れていた。山崎豊子も、彼が亡くなった時、「昭和史の生き証人が肝心なことを語らぬまま亡くなったことは非常に残念。歴史的真実をしっかり話すべきだったと思う」と語っている。田宮二郎主演の『白い巨塔』(1978年6月 ~ 1979年1月放映)が、テレビ・ドラマとして、有名だ。阪大病院の内幕が描かれていて、大学病院内の権力争いのすごさが、当時、話題になった。1995年のNHKドラマ、『大地の子』は感動的で、夢中になってみた。当時無名の上川隆也は、このドラマで一躍有名になった。
彼女の逝去(せいきょ)の報道の後、彼女の本を読みたくなり、『花紋』と『女の勲章』を借りてきて、読んだ。『花紋』の主人公は、石上(いそのかみ)露子という歌人をモデルにして、山崎豊子風に描いたものと思われるが、描かれている女主人公には、全く共感できなかった。河内の大地主の総領娘として育てられた彼女は、想像できないほど気位が高く、周りの人すべてが彼女中心に動くものと思っている。祖父や父親から、大地主という家柄にあった男性と無理やり結婚させられるが、婿養子には最初から心を開かず、不遜(ふそん)な態度をとる。臈(ろう)たけた美しい女性として記述されているが、私には、単なる自己中心な冷たい心の女性としか思えなかった。
『女の勲章』では、船場の格式ある老舗(しにせ)の嬢(いと)はんとして育てられた気位の高い女性が、一躍、有名服飾デザイナーに仕立て上げられる。だが、最後に、自分が騙され、利用されていたこと、また野心家ぞろいの3人の女弟子と同格に扱われていたことに気づき、誇りを傷つけられて、鋏(はさみ)で喉(のど)を突いて自殺してしまうという、激しい気性の誇り高き女性が描かれている。女たらしの銀四郎を含め、登場人物が型にはまっており、彼らの考え方、行動に違和感を覚えた。江藤淳は、この小説を大衆小説の傑作と呼んでいる。
山崎豊子は、船場の嬢(いと)はんとして育ち、子供の時、女の子であるにもかかわらず、「新町のごんたはん」と、みんなから言われていたそうだ。そんな彼女だから、女性が社会で活躍するのに生きづらい時代でも、綿密な取材力と、その持ち前のきかん気を発揮して、次々と超大作を著し、ベストセラーを生み続けていけたのでしょう。実家は、大阪船場で160年の歴史を持つ、昆布「えびすめ」で有名な小倉屋山本。
テレビドラマ『半沢直樹』がとても面白かった。兄からの電話で、「TBSの日曜ドラマで面白いのが始まったぞ」と教えてもらったのが、7月14日(日)。午後二時から第一話の再放送を見る。痛快なドラマの展開にあっという間に時間が過ぎる。
銀行では、上司のミスは部下のミスと、自分のミスを下に押し付ける。悪徳中小企業の経営者は、粉飾決算で銀行をだまし、融資を受けると、すぐ計画倒産。お金をもって行方をくらます。頭のいい悪い奴がいる。一方、最高の技術を考えだし、世界一の品質の物を作ろうとしても、銀行の融資を受けられず、資金不足に苦慮する真面目な中小企業の経営者たち。そこで、融資部門の課長である、型破りバンカー・半沢直樹が活躍する。上司が何と言おうと、間違っていることは間違っていると、はっきりもの申し、銀行内外の腐敗した輩を相手に、やられたら倍返しと、たくましく立ち向かう。
「銀行は、天気のいい日に傘を貸し、雨が降ったら傘を取り上げる」ところだそうだ。でも、あの最終回は何?半沢はやりすぎたから、左遷されるの?頭取って、あの大和田常務と同じ穴のむじなだったの?小説では続編があるようだ。
暑い暑いを連発する日々で、何をする気も起らず。朝夕涼しくなって、やっと、ホームページを更新しようかなという気持ちになる。
この夏は、涼みがてら、映画館に二度足を運び、映画鑑賞。一本は姪が見たいという『真夏の方程式』にお付き合い。知らないうちに、殺人に加担させられていたことに気付いた少年。これから先、少年はどうなるのだろう。戸惑って右往左往している少年の姿が頭に焼き付く。彼の伯父さんは、甥っ子の将来のことなど考えなかったのだろうか。子供だから、気づかないと思ったのか。少年はこれからどう生きていくのだろう。原作者・東野圭吾って、どんな人なんだろうと興味を持ち、図書館で彼の著作を借りてきて、3冊ほど読み終える。
また、宮崎駿のアニメ『風立ちぬ』を観る。ジブリ映画を観るのは、『コクリコ坂から』以来。「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」とは、どういう意味?二人の間の接点って何?と調べてみると、ただ単に、零戦の設計者・堀越二郎と小説『風立ちぬ』の作家・堀辰雄を合体させて、このアニメは作られたようだ。サバの骨を美しいと感じるのは、技術者・堀越二郎の感性ではなく、宮崎駿の感性だった。
宮崎駿の引退の報道が流れる。『もののけ姫』を観た時に、1997年公開だから、今から16年前、すごいアニメだと思った。こんな作品を作ってしまったら、彼はこれ以上映画を作ることはできないと思った。ところが、相変わらず、精力的に作り続けている。私には、その後の16年、作り続けられたことの方が、驚きです。
横浜美術館にて、7月6日(土)~9月16日(月)、『プーシキ美術館展-フランス絵画300年』が開催。この展覧会は、2年前、開かれる予定だったが、東日本大地震と原発事故が発生した為、中止になった。プーシキン美術館との交渉の結果、二年の延期ということになり、今年、改めて日本で開催されることになった。第一会場は愛知県美術館(4/26-6/23)。第二会場は横浜美術館。その後、神戸市立博物館(9/28-12/8)で開催される予定。チラシの中のルノワールの『ジャンヌ・サマリーの肖像』を見ると、是非、本物を見てみたくなる。
ルノワールの絵といえば、今年の春、三菱一号館美術館にて『奇跡のクラーク・コレクション ルノワールとフランス絵画の傑作』が催された。ルノワールの絵って、こんなに素敵だったんだと認識させられた展覧会だった。絵葉書を買おうかと物色するが、実物とはかなり違うため、買うのをやめる。これだけ揃ったいい絵を見る機会は中々ないだろうと思い、もう一度行こうと思っていたのだが.....。今、兵庫県立美術館にてこの展覧会が開かれている。開催期間は6月8日~9月1日まで。近隣の人は是非いらしてください。お勧めものです。
習近平主席、口を開くたびに、「「中国の夢」を実現するために」とおっしゃる。尖閣諸島の領有権のみならず、沖縄の領有権まで中国のものだと主張し始めた中国。その欲望、尽きることなし。
そのうち太平洋の島々すべてが中国の物だと言い出しそう。
先日、メディアに流れた民主党「大反省会」での管さんの言葉は、ひどかった。「(小沢氏は)自分の政治的影響力が一番大きくなるには何を言えばいいかと、それがすべての判断基準になっている。(政権交代前から)傾向は分かっていたけど、これほどひどいとは思わなかった。」
なんだか自分自身の責任逃れを言っていますね。一番反省しなくてはいけない人の言葉とは思えない。管さんが、総理の器ではないことは重々承知していましたが、これほどひどいとは。その言葉、そっくり管さんにお返しします。
人は自分自身を語るものです。言動には気をつけましょう。