1. 寝台特急サンライズ出雲

9月6日の月曜日、遅めの夏休みに入ったワタクシは、 鳥取に旅立……つ予定であったが、 あまりにも台風直撃だったので、 2日ずらして、9月8日の水曜日に旅立った。

旅の足は、サンライズ出雲。寝台特急である。 これまで何度も寝台特急に乗ったことがあるが、 個室ははじめてである。いやが上にも期待が高まる。

同特急は、東京駅を22:00に出て、横浜駅に着くのが22:24である。 大事を見て、ちょっとはやめに横浜駅のホームで待っていた。 ワタクシは夏休みと言えど、世間一般には普通の平日である。 22:00過ぎともなると、 酔っぱらいだらけ なのである。

ベンチには、スーツ姿のサラリーマンが大口を開けて眠りこんでいる。 この人はずっとここで寝ちまうんだろうな、と思っていたら、 東海道線が来ると同時に目を覚まし、何事もなく乗りこんでいった。
……人間の習性というものは、侮りがたいものである。

ほどなく、サンライズ出雲が入線してきた。 個室がメインの特急だけあって、デザインが垢抜けている。 20年ほど前にブームになったブルートレインとは違うのだ。

さっそく乗車し、自分の部屋を探すべく、 入口の案内板を見よう……と思ったのだが、 後ろにいた他の乗客の通り道を塞ぐ形になるため、 やむをえず列車の奥に進む。
その列車の一番奥まで来た時点で、 ワタクシの部屋は 入口から1番めの部屋であることが判明した。 無駄に歩いてしまい、損した気分である。

部屋はシングルツイン。 基本的にはひとり用なのだが、上段に補助ベッドがあり、 割増料金を払えば、もうひとり寝ることができるらしい。 ……が、ワタクシには関係のない話である。
それにしても、某駅のみどりの窓口の駅員は、 B寝台個室の申し込みで、なぜにシングルツインを割り当てたのか。 シングルに比べて往復で4,000円くらい差が出るのだがな……。 まぁ、過ぎたことはどうでもよい。

とりあえず荷物を放り出し、下段の寝台に座って、 窓の外を目をやると、 駅のホームで電車待ちしている人から丸見えであった。 非常に気まずいので、急いでブラインドを下ろした。 構造上の欠陥といってもよいのではなかろうか?

で、この部屋なんだが、はっきり言って、 狭い。 写真では分かりにくいだろうが、 すんごい狭いのである。 しかし、冷静に考えれば通常の寝台特急のB寝台ソロ (*1)よりはひとりあたりのスペースはあるのだ (ソロの場合、他の乗客がいなければ、4人分のスペースをひとりで占有できる)。 J○西○本の列車紹介ページの写真がさも広そうに撮られているため、 過剰な期待を抱いてしまったんである。 写真とは恐ろしいものよ。
……ちなみに、通路でこの写真を撮っていたら、 他の乗客に怪訝な目で観られてしまった。

(*1)B寝台ソロ
ひとつのブロックに上下x2の4つの寝台がしつらえられいる、 おなじみのタイプの寝台。 色々な人と出会えて旅の楽しみが増えるが (家族連れとトランプをやったり、 帰省途中の寝台特急で知り合った身体障害者のかたを後日地元案内したことがある)、 うっとうしいヤツと一緒になると精神エネルギーが激減する。

翌朝。早起きして洗面台が混まないうちにヒゲを剃る。 列車の揺れで非常に剃りにくい。 切り傷を作らなかったのは幸運と言えよう。

トイレ。洋式と和式があるが、もちろん洋式を選ぶ。 やはり揺れのため、和式はとってもおっかないんである。

朝の身じたくをひととおり済ませて、 窓の外をぼーっと眺めると、見知らぬ風景が流れており、 旅を実感させる。旅にとって早さは必須条件ではない。 こういうプロセスが大切である。

そうしているうちに車内販売がはじまったので、 10号車のミニサロンにコーヒーを買いに向かう。 途中、のびのび座席とA寝台の前を通る。
のびのび座席は、普通のシートと寝台の中間みたいな感じで、 足を伸ばして座ることができる。 カーテンで他の座席から視界を遮蔽することもできるようになっているが、 全体的にフェリーの2等客室のような雰囲気があって、 これはこれでよいかもしれない。
A寝台は少し上等な作りになっており、 部屋の中はまったく未知の世界である。 これはこれで乗ってみたい気がする。

10号車のミニサロンは本当にミニサロンであった。 その一角で、販売員が細々とコーヒーを売っている。 カウンターはおろか新幹線で見かけるワゴンすら見当たらない。 あまり力を入れる気はないらしい。 ホットコーヒー1杯300円。高いのう。

定刻に米子に到着。
天気予報では、今日(9日)が曇り、明日(10日)が雨、となっているため、 今日、旅の第一の目的である投入堂に向かうこととする。 倉吉からのバスの時間も勘案すると、 特急スーパーまつかぜに乗らねば間に合わない。 特急料金ちょっぴり散財。

出発時刻まで少しあるので、米子駅の構内から出る。 で、見えたのが、これ。

これを見て、

銀河鉄道999 !!!!

と思うのはワタクシだけではないはずだ。

その後調べたところ、これは本当に999らしい。


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